2025 麻子 大村 2025 麻子 大村

12月22日

設計製図のエスキス、年内ラストで中間発表会。発表会後の最後のコメントで、「非常に冷酷だが、建築は『勝ち』と『負け』がある世界。教育の現場では言われないと思うし僕も言いたくないけれど、プロポーザルをしたら実際に建つのは一案だけだということはわかってほしい」といったことを言った。学生たちがどんな顔をしていたかはあまり覚えていない。こういうことを言うべきなのかどうか、いつも迷う。でも建築を続けていくということは、この「一案だけ」という現実とどう付き合っていくかだ。選ばれなかった可能性を「なかったことにしない」のは、いつだって自分次第だ。

Read More
2025 麻子 大村 2025 麻子 大村

12月21日

年末に向けて自宅の整理整頓をする。部屋のどの部位が「乱雑さ」をもたらしているのか、探偵になった気分で眺めていく。冷蔵庫の上に置いてあるボックス、みたいな、視界に入らないだろうとタカをくくっていた死角が、けっこう悪さをしている。家は放っておくとどんどん散らかっていく。これは庭に雑草が生えてくる感覚に近い。ある種の自生性があるというか、かってにスポーンしてくる感じがある。ただし、庭の雑草には季節があるけど、部屋の散らかりには季節がない。年末だから片付けるという行動は、人工的な季節の持ち込みといえるかもしれない。北風になる。

Read More
2025 麻子 大村 2025 麻子 大村

12月20日

ココナッツミルクをたまたまスーパーで見つけたので、グリーンカレーを作る。ほうれん草を軽く塩茹でし、ミキサーで撹拌したあとよく煮込む。サグチキンではなくグリーンカレーであることを忘れない。味の決め手はコンソメだが、今回使ったのはヴェネチア滞在時に買い込んだもの(STARのコンソメキューブ)。ものすごく重宝しているが、あとひとつしか残っていない(誰か買ってきてください!)。カレーの風味はクミンとコリアンダーで出すが、通常のカレーほどは投入しない。グリーンカレーはほうれん草次第で苦味の出方がまったく変わってしまうのが難しい。「ほうれん草」という単一のカテゴリーのなかに、実際には収まりのつかない多様な個体が存在している。素材ごとのギャップが大きすぎる以上、レシピは設計図にはなり得ない。

Read More